〜性同一性障害〜

一方だけが

有吉佐和子の新聞連載小説《複合汚染》だった。
性同一性障害を扱った個所があった。
そのときの衝撃は大きく、幼い息子をみながら、
これから先、直面するようなことがあるのなら、
素直に「受け入れよう」と思っていた。


時代は変わり、外見は男性ながらも、
様々な分野で、女性として認識されてる人達が増えてきた。


2年ほど前、コラムニストであるMさんの、
「10人限定、読者とのお茶会」に出席したことがある。
彼はレベルの高い外大卒。
「この世界はハタチ過ぎたらババァなのよ」といいながらも、
面白おかしく、時にはシビアに、一所懸命話してくれ、
参加者には一人ずつ《質問させ》真摯に答えてくれた。
ある面では、今の自分の位置を楽しんでいるかのように。



先日、デパートの化粧室で。
「一寸待って、並んでる方が先だから」の声に振り向くと、
70代のお母様と、30代位なのかしら、、、
長い髪を後ろで束ね、黙って従う女性。
彼女の口元のには、まるで髭の濃い男性の、剃っても直ぐに生えてくるような髭がうっすらと。


振り向いた一瞬のことだったが、
とても重く暗い彼女の表情が今も脳裏に焼きついている。


今、私達が認識しているのは「男」側だけではないだろうか。
誰かが、
一人でいいから、メディアで受け入れられたら。。。。
救われる人達も多いだろうに。