〜枕の達人〜

立川志の輔

その小さな小さな会場で志の輔師の落語会があることは知っていたが、既に常連さんで埋まり申し込んでも入れないだろうと諦めていた。


池袋演芸場下席夜の部の【落語協会特選会】
前回行ったときは既に長蛇の列。
それが頭にあったので、かなり早めに家を出たが、それでも5,6番目だったろうか。
冬とはいえ、一段と厳しい寒さの中で並んでいると、その日の出演者である
K師匠が到着。
「寒いでしょう どうぞ中へ」と、シャッターを開けながら
ナント 開場前に私たちを入れてくれたのである。
取り分け超年配の御常連が多く、心配されての粋な計らい。
私は《一応》辞退したものの、さほど変わらない年齢ゆえ、即 素直について行く。


その中のお一人に、志の輔師匠ととても親しい方が。
「今回 たまたまいい席が空いてますから」の言葉に飛びつき、行きましたよ。
私鉄→JR→都電と乗り継いで。
最前列の左側。あのときの【禁酒番屋志の輔ワールド。
それから、通い続けること2年。
笑った笑った。枕で笑った2年でもあった。
枕に関しては師の右に出る人はまずおるまい。
日常生活のなんでもないことが、実はとんでもなく可笑しなことなのだと
気付かされることが度々あった。
まさしく【ガッテン、ガッテン】である。


泣いたこともあった。
【浜野矩随(はまののりゆき)】
話が終盤に差し掛かると、もう涙が止まらない。
家に帰ると母親は自宅で自刃
それも乱れぬよう足元結わえて(by小朝)
それが、なんだ なんだ
おっかさん、回復して長屋は飲めや歌えやのドンチャン騒ぎだ??

エッ〜〜 どうしてくれんだよ!この涙をさ!!


後で知ったが、この噺は2通りあるのだとか。
それにしてもだ、片や仏になり、かたやこの浮かれよう。


。。。落語ですから。。。


2年間、指定席で楽しませてもらったが、ここらで小休止。
席がくじ引きになったのと(当然といえば当然)
【乗り換え通勤】が辛くなってきた。特に冬場の帰りはツライ



今年の初め、志の輔師と浪曲界のスパースター国本武春木馬亭で。
国本武春の三味線捌き ロック、ブルース、ラテン何でもでもござれで
一見の価値あり)

それぞれの芸を披露してチョン。
度迫力の【競演】であった。