〜パ・リーグの一番長い日〜

仰木彬

1988年 タイトルの放送が流れた。
何度繰り返しこの録画を見たことか。
時間にすれば、50分そこそこ。
映画でもそうだが、好きなものを観ているとき
【時間はアッというまに】過ぎてしまう。
だが、これだけは例外。
1秒すら、重く長く感じさせてしまう秀作である。


パ・リーグの覇者西武が、セ・リーグの中日を全く寄せ付けない
横綱試合で勝った優勝祝賀パーティで、
若い清原選手が言う「(西武が優勝したことで)近鉄の選手の皆さんに顔向けができる」
石毛選手も全く同じことを言う「優勝してホッとし、少し時間を置いて 近鉄の皆さんに
顔向けができると思った」と。


当時 仰木彬近鉄の監督。
番組は スーツ姿の監督が川崎球場のグランドに立ちインタビューに答え
場面々で其のときの選手の会話が入る。



10月19日 ロッテ対近鉄 川崎球場
近鉄はこの試合に勝たねばならぬ。2勝しなければならない。
引き分けは許されないのだ。
西武の選手は ラジオに耳を傾ける。
近鉄が負ければ、西武の優勝が決まる。
この試合だけでも、後世に語り継がれるドラマがある。
第1試合 4−3 
この白熱した試合が日本中に伝わり、20数分後の第二試合では
球場に入りきれない多くの人が近くのビルの屋上、外階段に連なっている。
第2試合 これも第1試合同様白熱したいい試合だった。
が、ここに《4時間》という酷な規則が顔をだす。
9時43分 その時間を待つためだけに守りに入る選手達。
【負けてもいないのに敗者】となった近鉄


石毛が語る 「野球の一(いち)ファンだったら、近鉄に勝たせたかった」
川崎球場での歴史的な感動は 男達の傷だらけのドラマがあるからだと
ナレーションが入り、仰木監督の笑みを浮かべたアップで番組が終わる。


昨日のニュースで 清原選手がオリックス・バファローズに入団すると知った。
活躍してほしい。仰木彬名監督のためにも。