〜久世光彦〜

無念

突然の訃報に 声を上げた。
先日 週刊誌の大遺言書読んだばかりである。
掲載されるようになった頃、図書館で読んだ後、その場でコピーしたりしていた。
対談中の森茂久弥は 粋で お洒落で 好色で それらが実に心地よく
こちらに伝わってくるのは 聴き手、書き手が
敏腕演出家の久世光彦なればこそであろう。


各局の報道は《向田作品》の喜劇を取り上げていた。
《食い物番組》とも言われていたらしい。
確かに多かった。
彼の番組を見て、《鰻を食べてみたい》衝動にかられたのだ。


1月CSで放送していた向田作品
始めの2本は 放送終了後 番組に対しての思い出話がある。
《拘り》を大切にしていた番組であった。
それは言葉、小道具にも反映されていたらしい。
向田邦子の頑なな拘りを、久世は嬉しそうに語っている。
喜劇だけではない 久世光彦の向田作品も忘れないでほしい。


数々の名作ドラマを生み出してきたNHK「土曜ドラマ」が帰ってくる。その第1弾は、14日から始まる井上靖原作の「氷壁」。かつて同じNHKでドラマ化された作品のリメークだ。新生「土曜ドラマ」(土曜後10・00)は、時代を映す本格派ドラマの復活を目指している。(津久井美奈)
 「土曜ドラマ」は、1975年から始まった。山田太一・作、鶴田浩二・主演の「男たちの旅路シリーズ」、和田勉らが演出した「松本清張シリーズ」などのほか、「阿修羅のごとく」の向田邦子や、鎌田敏夫田向正健市川森一ら脚本家シリーズなど、いずれも骨太の見ごたえある本格派ドラマを数多く放送した。「ドラマをやってきた人間にとってのあこがれであり、聖地のようなもの。あれを見て、NHKのドラマを目指した」と76年入局の西村与志木ドラマ番組部長が語る名作枠だ。

この記事を読んだとき、脳裏に浮かんだのが演出家の深町幸雄であり、久世光彦だった。
大御所演出家による、上質なドラマをもう一度見たいと、期待した矢先の悲報。
1月に録画した久世光彦演出の向田邦子作品。
出会えたことに感謝。