〜虐められっ子〜

大きな愛に守られて

「辛かったら学校行かなくていいよ」
「ウン、でも今日先生に言ってみる」


朝になると小学5年になる次男と、このような会話が日常的になっていたある日の夕食・
「やっぱり、僕は先生が変だと思う」と息子がおもむろに切り出した。
「みんなに 昨日と同じ服を着ている。汚い」と言われたと。
「先生はどうしてたの?」
「黙ってた」


いじめるための材料は何でも良いのだ。


前日のクラスの様子が目に見えるようだった。
このままにしていたら。。。


学校に電話した。
校長先生にいきさつを話す
「それはおかしい お母さん 僕は毎日同じ背広ですよ」
この一言で全てが解決されていくように思えた。
「このことは担任には伝えません。私と教頭に任せてください。
後で彼に電話させますので」
「お母さん 僕を見たことありますか?」教頭先生の話は容姿のことで、
子供時代ズーと虐められていた体験談から始まった。


「校長先生がね 僕に《T君 音楽室はこっちのほうだったかな?》て聞くんだよ。」
折りに触れて校長先生や教頭先生が息子の名前を呼び、語りかけてくれた。

級友の息子へ対する態度にも変化がでてきていた。
息子も本来のヒョウキンさを出せるようになり、
「T君が変わってきたと、娘が話してます」とある日の父母会で
女の子のお母さんが発言された。
「私も驚いてます」と応えたのは担任の女教師。


6年に上がった日「お母さん 僕達のクラス校長室当番なんだけど、
校長先生も教頭先生も変わっちゃったよ。残念だなぁ」


校長先生や教頭先生に守られてきたこと。
何時話そうか
中学卒業?高校入学?高校卒業?大学入学?成人式?
つい数ヶ月前 息子に話した。
「そうか 僕はみんなに守られてたんだ」


校内暴力やいじめによる自殺等が社会問題視され始めた頃、
TBSラジオ子供相談室の無着成恭氏が電話の向こうの子供に、
大きな声でゆっくりと応えていた。
「担任の先生 先生が駄目なら教頭先生 教頭先生が駄目なら校長先生
校長先生が駄目なら教育委員会に言いなさい」と。


あれから 10数年経過
福岡県筑前町の町立三輪中学校
前担任 そして「いじめ」を「プレッシャー」と表現した校長。
無着先生の答えが 今又必要とされている。